• 2015/03/31
  • Edit by コクリ!プロジェクト事務局

土創りサイクル

組織変革手法を基に、私たちが独自に創りだした「行動・思考の型」です。
土創りサイクル (図1)

コクリ!エコシステムを創る原動力となるのが、“土創りサイクル”(図1)です。土創りサイクルとは、さまざまな組織変革手法を基に、私たちが独自に創りだした「行動・思考の型」(※1)で、この型を習慣的に使うことで、日々、地域を耕すことができます。“コクリ!キャンプ”や“コクリ!ラボ”は、土創りサイクルに沿ったプログラム設計をしています。参加者の選定、準備、フォローなど、イベントの前後の行動や決断の際も、やはり土創りサイクルを意識するチャンスを数多く設けます。そうして、日々自ら土創りサイクルを回し続ける“タネビスト”を増やしていくのです。タネビストが、自分たちの手で地域を豊かにするとともに、地域の人々に土創りサイクルを伝播していくことで、コクリ!エコシステムが少しずつ豊かになっていくのです。

①想いに目覚める → “自分ゴト”で考えるようになる

ほとんどの人が、心のどこかに「自分の地域を良くしたい」という想いをもっているものです。しかし、普段はその気持ちに蓋をしている人や忘れている人が多い。そこではじめに、一人ひとりが自分の内面を見つめ直し、自己の奥底に眠る周囲への想い、地域への想いに目覚めるよう促していきます。すると、人々は地域の課題を他人ゴトではなく、“自分ゴト”として捉えるようになっていくのです。想いに目覚め、自分ゴトで物事を考え始めると、人は問題意識が俄然高まり、内発的動機で動き出していきます。この“自分ゴト”化が変化の第一歩です。

その際、どのような人にも「潜在的な可能性」があることを忘れてはなりません。特に地域では、役割や関係が固定されがちで、秘めたる可能性が見過ごされていることが多いため、一人ひとりの未知の能力を引き出していくことも、私たちが重視するポイントの1つです。

②深くつながる → “関係の質”が高まる

次に、プログラムに参加する地域内外の人々と互いによく理解し合い、また地域そのものと深くつながることを促します。土創りサイクルでは、常に“関係の質”の向上を狙っています。地域内の連携力、行政と民間の連携力、周辺地域との連携力、企業や都市との連携力を高めるためです。関係の質が高まるだけで、課題解決に向けて前進することも多くあります。

キーワード★“関係の質”が、成功の好循環を生む

成功循環モデル (図2)

ダニエル・キム氏(元MIT教授)が提唱する「成功循環モデル」(図2)によれば、思考、行動、結果の質は“関係の質”に大きく左右されます。関係の質を高めることが、思考、行動、結果の質を高める好循環を生み出すのです。そのため私たちは、関係の質の向上を重視しています。

③本質を悟る → “みんなゴト”になる

3ステップ目に、自分ゴトとして捉えた地域課題についての思いや考えを皆で持ち寄り、共有し、対話します。すると、地域課題の「本質」、課題が起きている真の理由や原因、解決の方向性などが見えてくるのです。その過程で、自分ゴトが“みんなゴト”に変わっていきます。

④北極星を創る → “未来思考”で考える

皆で本質を悟った後、今度は“北極星(ありたい未来)”を皆で定めて共有し、未来思考で地域を考えていきます。その際、20年後、10年後、1年後といった形で段階的に考えていくと、北極星はより具体的に見えてきます。これは、どうしても保守的になり、挑戦を避けてしまいがちな日常を乗り越えるために欠かせないプロセスです。北極星を創る習慣を身につけると、議論が前向きに進められるようになります。

キーワード★“未来思考”で理想の地域を追求する

未来思考 (図3)

私たちは“未来思考”(図3)を重視しています。未来思考とは、北極星(ありたい未来)、つまり考えるだけで楽しくなり、力が湧いてくるような未来、本当に皆が実現したい未来を皆で設定・共有することです。また、設定・共有に留まらず、そこに到達するために何をしたらよいかを各々が考え、行動することです。「正解のない時代」だからこそ、北極星を設定しないと結局は成り行きの未来に留まってしまうことが多くあります。皆で制約や困難を乗り越え、地域に変化を起こし続けるためには、北極星の力が欠かせません。

⑤化学反応を起こす → “創造”が起こる

皆が地域の課題を自分ゴトとして捉え、質の高いつながりが増え、北極星を共有すれば、地域内にもともと備わっていた多様な知識・アイデア・技術などが自然と交差し、ワクワクする化学反応、つまり創造が多様に起こるようになります。そこに地域外の人・企業の存在があれば、クリエーションの可能性はさらに高まるでしょう。また、この段階になると、参加者は「やりたい」サイクルに入っていますから、その挑戦意欲は十分に高まっているはずです。

キーワード★“やらねば”サイクルから、“やりたい”サイクルへ

創造性を高めるには、“やらねば”サイクルではなく、“やりたい”サイクル(図4)によるポジティブアプローチが欠かせません。土創りサイクルでは、人々が“やりたい”サイクルに入ることを常に促します。

“やらねば”サイクルではなく、“やりたい”サイクル (図4)

⑥一歩踏み出す → 物事が“前進”する

土創りサイクルでは、最後に必ず全員に、一歩踏み出すことを促します。踏み出せば、物事が前に進み、何かが変わるからです。創造を計画に留めず、実際に変化を起こすためには、失敗してもよいから踏み出す一歩が欠かせません。

この研究では“プロトタイピング(試行)”を重視していますが、それも同じ理由からです。試しに実施してみると、成功要因や課題点が明確になり、何より次へつながる推進力となるのです。この踏み出しの積み重ねが、北極星を実現します。素晴らしい仕組みも、経済の循環や利益がついてこないと長続きしません。私たちはワクワクと経済の両立を目指し、楽しく持続的な地域創りを伴走します。

※1 土創りサイクルを創る際には、パーソナル・コーチング、システム・コーチング(R)、U理論、フューチャーセッション、ホールシステム・アプローチ、OST、ワールド・カフェなどの組織変革手法を参考にしています。

 

コクリ!宣言

 

あらゆる人が本領を発揮し、化学反応を起こし、活かし活かされ合いながら自然と共生する持続可能な社会を共に創ること。