昨年に続いて多様な参加者たちが建長寺に集まった
コクリ!キャンプ2018は、昨年に引き続いて、鎌倉・建長寺で開催しました。建長寺は臨済宗建長寺派の大本山で、日本の禅の中心地の1つ。とても開かれていて、これまでに先進的な試みをいくつも行っているお寺です。そこで昨年同様、朝の10時から夜19時まで、9時間の対話の場を開きました。集まったのは、地域リーダー、地方自治体、農林業、官僚、首長、行政、企業、クリエイター、NPO、教育、ファシリテーター、金融、ITなどなど、多様なバックグラウンドをもつ約130人の方々です(コクリ!キャンプ2018メンバーはこちら)。
最初のプログラムは、今回もNHK・大河ドラマの芸能考証・指導なども担当されている琵琶奏者・ビワッチさん(友吉鶴心さん)の琵琶の演奏。本当にお忙しいなか、この演奏のために駆けつけてくださいました。次に、愛ちゃん(三田愛/じゃらんリサーチセンター研究員)と賢州さん(嘉村賢州さん/NPO法人 場とつながりラボ home’s vi 代表理事、東京工業大学特任准教授)が、これからどんな1日になるのかを説明しました。また、鎌倉でビジネスを続け、最近『鎌倉資本主義』(プレジデント社)を書いたやなさん(柳澤大輔さん・面白法人カヤック代表取締役CEO)に、鎌倉と建長寺、そしてコクリ!キャンプのことについて語っていただきました。
分化してから統合して歩み始める物語
午前中のプログラムは、【オープニングセッション~旅の始まりは、自分と仲間と深くつながるところから。】というものでした。具体的には、5人1組の「ホームチーム」で、一人ひとりが自分のストーリーを話し合う「根っこでつながりあうオープンセンテンス」を行いました。これは、自分の中にある大切なものを探り、それを話すことで、自分の「根っこ」とつながる時間です。また同時に、全身全霊の注意を傾けて、語り手の語りに耳を傾けることで、仲間の「根っこ」とつながる時間でもあります。参加者の皆さんは、2時間近くかけて、自分と仲間の「根っこ」につながり、お互いの信頼を深めていきました。
お弁当を食べ、美味しいコーヒーをいただいた後は、午後のプログラム【コクリ!エッセンシャルズ~コ・クリエーションを体感する、至高の分科会。】です。このプログラムでは、参加者が3つの分科会のいずれかに参加しました。
「身体の叡智」分科会では、洋二郎さん(橋本洋二郎さん/株式会社ToBeings 代表取締役社長)とけいちゃん(土屋恵子さん/株式会社アデコ取締役 ピープルバリュー本部長)の案内のもと、参加者にさまざまな身体ワークを体験してもらいました。
「自然との物語」分科会では、まゆかさん(山崎繭加さん/華道家・ハーバードビジネスレビュー 特任編集委員)、たくちゃん(後藤拓也さん/人財・組織開発コンサルタント、講師・ファシリテーター)のファシリテーションで、参加者は「チームいけばな」を体験。数人のチームで、一つのいけばな作品を創ってもらいました。
「進化のバトン」分科会では、えいすけさん(太刀川英輔さん/NOSIGNER代表・慶應SDM特別招聘准教授)が生み出した「進化思考」を、えいすけさん・けんしゅうさんのファシリテーションで体験しながら学ぶ場を開きました。また、その後は愛ちゃんのファシリテーションで「7世代ワーク」にも取り組みました。
分科会が終わったら、夕方は【統合セッション~学び・気づきを共有し、新しい物語を歩み始める。】の場。まずはなおきさん(太田直樹さん/New Stories 代表、前総務大臣補佐官)のファシリテーションで、「2Loops」というプログラムを体験してもらった後、「ジャーナリング」でGIのコンセプトやアイデア、プロトタイプ(取り組みたいこと)などに関する問いを立ててもらいました。それから、ホームチームの誰かに成り代わって、GIなどについて語る「イタコダイアログ」で、皆の願いや祈りを共有していきました。
最後は、一人ひとりのGI・キーワード・プロトタイプを共有した後、ちえさん(則枝千絵さん/舞踊団バリアージ主宰)のダンスで終了。ようやく長い一日が終わりました。この後、参加者の多くは懇親会へと向かいました。
皆さんの感想のごく一部をご紹介
荒井優さん(札幌新陽高校 校長)
200年先の人類が「一人ではないよ」と言ってくれたことが印象に残っています。自分の根っこに正直になろうと思いました。素晴らしい機会でした。次回もぜひ参加したいです。運営の皆さん本当にありがとうございました。愛に溢れた場所でした。
鈴木菜央さん(NPOグリーンズ代表 greenz.jp編集長)
めったにない、自分のためだけの時間。自分を大事にできた時間。進化思考は非常に刺激的だった。僕が今学んでいるパーマカルチャーと照らし合わせながら、新しい概念が立ち上がるのを目撃した気分。種としての幸せと個体としての幸せは同じなのだろうか?
高橋邦男さん(一般財団法人こゆ地域づくり推進機構(こゆ財団)事務局長)
人生で一番、自分の内側に潜ることができた時間でした! 新富町で既に体験していた「体を使ったワークショップ」。同じワークだと新しい気づきに欠けるかも…という先入観が働いていました。ところがそのワークで、新富町では得られなかった視界の広がりを体感。何十年も怖い記憶だと思いこんでいた自分の夢にポジティブなネクストストーリーが見出せたこと、それを通じて自分には潜在的に自分自身に書き込んでいる境界線があると知ることができました。ここまで自分を深く掘り下げる体験は初めてで、同じ時間を共有させていただいたコクリメンバーの皆さんに感謝です。
信岡良亮さん(アスノオト代表取締役)
コクリ!の培ってきたコミュニティが、育ってきているなーという体感がすごく強かったです。始まりの時間から緊張感が少なくてとても居やすかったです。
宮城治男さん(NPO法人ETIC. 代表理事)
みなさんと未来を見たような、不思議な時間。チェックインからみなさんと深い話に入れた。全体を通して、あの場にいる人たちがひとつの繋がりの中でいること、ひとつのいきもののような一体感を感じられた。植物のスケッチや生け花の体験はとても刺激的だった。そこに宇宙を感じたし、組織や経営に通じる学びがあった。
三宅紘一郎さん(ナオライ株式会社 代表取締役)
コクリ!の場のような地域があれば幸せだし住んでみたいな。コクリ!こそ日本の未来だな。と感じる時間だった。太刀川英輔さんの「進化思考」ワークと三田愛さんの「7世代後の未来を想像する対話」この組み合わせがすごかった。
森本佑紀さん(tanQ 株式会社 Founder)
じぶんの今までの人生が結晶化するような時間でした。結晶はゆっくり固まれば固まるほど美しく透明に固まるので、変に急がず焦らずじっくり。まだまだ続いています。未来との対話の中で泣いてしまいました。じぶんの真の願いが湧き上がってきて、そこに躊躇がなくなりました。僕がやりたいことは、どこまでいっても目の前の子供達に何ができるかだし、それ以上でも以下でもありません。目の前の子供に、具体的にかつ大きな枠組みで、どのように関わるかということを大切にしているのだと感じました。
吉岡利代さん(ヒューマン・ライツ・ウォッチ上級プログラムオフィサー Process Work Institute学生)
自分丸出しで新しい仲間に出会えた宝石時間。最初のホームグループでのチェックインで、すでにみんなが素の自分として、時に涙しながら語っていたことに、本当に感動しました。コクリ!がこれまで積み重ねてきてくださったものが、参加者が自分と世界とつながる速度をどんどん速めていると、実感した瞬間でした。