• 2017/12/12
  • Edit by HARUMA YONEKAWA
  • Photo by KENICHI AIKAWA

100年後を変える、時代のうねりを。今、ここから――コクリ!キャンプ2017・レポート

2017年11月7日(火)、「コクリ!キャンプ2017」を開催しました。ここでは、簡潔な文章とたくさんの写真で、1日の出来事をご紹介します。

目に見えない水面下で、社会を確実に変えていく「うねり」を起こす

コクリ!キャンプ2017は、鎌倉・建長寺で行いました。建長寺は臨済宗建長寺派の大本山で、日本の禅の中心地の1つですが、一方でとても開かれていて、これまでに先進的な試みをいくつも行っているお寺です。そこで、朝の10時から夜19時まで、実に9時間の対話の場を開きました。集まったのは、地域リーダー、地方自治体、農林業、官僚、首長、行政、企業、クリエイター、NPO、教育、ファシリテーター、金融、ITなどなど、多様なバックグラウンドをもつ約130人の方々です(コクリ!キャンプ2017メンバーはこちら)。

建長寺

最初のプログラムは、NHK・大河ドラマの芸能考証・指導なども担当されている琵琶奏者・ビワッチさん(友吉鶴心さん)の琵琶の演奏。本当に心地よい調べで、晴れ渡る朝の引き締まった空気のなか、多少緊張ぎみの場の空気を緩ませてくださいました。その後で、愛ちゃん(三田愛/じゃらんリサーチセンター研究員)、賢州さん(嘉村賢州さん/NPO法人 場とつながりラボ home’s vi 代表理事)、洋二郎さん(橋本洋二郎さん/株式会社ToBeings 代表取締役社長)のファシリテータートリオが、これからどんな1日になるのかを説明しました。また、やなさん(柳澤大輔さん・面白法人カヤック代表取締役CEO)、べっく(阿部裕志さん・株式会社巡の環 代表取締役)、水谷さん(水谷智之さん・財団法人地域・教育魅力化プラットフォーム代表理事)に、鎌倉やコクリ!の場について説明していただきました。

ビワッチさん(友吉鶴心さん)の琵琶演奏

冒頭の説明で特に重要だったのが、「GI(ジェネレイティブ・インテンション/立ち現れる未来の意図)」です。GIはコクリ!が生み出した言葉で、ごくごく簡単に言えば、目に見えない水面下で社会を確実に変えていく「うねり」を自ら起こしていくことを指します。たとえば、個人資産などを共有するビジネスやサービスを指す「シェアリング・エコノミー」という概念があります。こうしたニーズや社会の要望は、おそらく以前からあったのです。それが、シェアリング・エコノミーという言葉ができたことで、大きな「うねり」になり、いくつものシェアリング・エコノミー・サービスが生まれるまでになりました。“100年後を変える時代のうねりを、今、ここから起こす。”それが、今回のコクリ!キャンプ2017の大きな目的でした。

愛ちゃんがコクリ!キャンプの1日を説明

29のGIテーマを話し合った!

午前中の第一部は、「【Listen】物語の始まり。まずは“根っこでつながる”ことから」というタイトルで、メイン会場とサブ会場、2つの部屋を行き来しながら行いました。メイン会場「私と仲間の物語に出会う部屋」では、5人1組のホームグループで全員が自分のストーリーを語り合う「ストーリーテリング」を行い、サブ会場「コクリ!と世界の物語に出会う部屋」では、参加者の皆さんに「GI感覚」を味わっていただき、コクリ!の物語に触れていただきました。

ホームグループでストーリーテリング さまざまな言葉を巡ってGI感覚を味わう

お昼ご飯を挟んで、第二部は「【Explore】“未知の世界”は宝の山」というタイトルで、洋二郎さんの「身体ワーク」の時間です。ホームグループの5人で背中合わせになって、そこから自由に動いたり、一人が自分の感情を表すポーズを取って、そこにほかの4人が関係していったり、5人であるシーンを身体だけで演劇にしてみたりと、さまざまな身体ワークにチャレンジしていただきました。初めて体験する方も多く、各ワークとも最初のうちは戸惑う姿が見受けられましたが、多くの方がほどなくコツをつかみ、楽しみながら動いているのが印象的でした。身体ワークで皆さんがノッていき、場が加速していくのがよくわかりました。また、第二部の最後には、個人/社会の終わりを告げるもの・始まるものを全員が書き、それを巡って歩く「センシング・ウォーク」を行いました。

身体ワークの前にホームグループで対話 5人1組で身体ワーク 身体のジェスチャーだけである場面を演劇のように演じる 身体ワークはイメージワークでもある。イメージを描く場面も みんなでセンシング・ウォーク

そして日が傾いてきた頃、第三部の「【Co-create】“ジェネレイティブ・インテンション”」が始まりました。参加者の皆さんがみずからGIテーマを出し、テーマごとに参加者が集まって話し合う場です。今回は29のGIテーマが出揃い、各テーマとも熱のこもった対話を繰り広げていました。話し合っているうちに、あっという間に夜。終わりの時間です。最後にもう一度、ビワッチさんの歌と琵琶演奏。ビワッチさんが歌う明治天皇の歌「ちはやふる神のまもりによりてこそ わが葦原のくにはやすけれ」が、僕たちの心も安らかにしてくれました。

みなさんがGIテーマを出し合う GIテーマについて対話 対話の内容を発表 最後にもう一度琵琶の調べを  

このコクリ!キャンプ2017は、いったいどういう場だったのか。GI(ジェネレイティブ・インテンション)とはどういうものなのか。それはこの後、いくつかのインタビューで詳しく触れたいと思います!

終わった後の愛ちゃん(三田愛さん)

●語り合ったGIテーマ:自由としがらみの間研究会/Connected Living Labs/一億総畑社会/仕事と遊びの境界が消える/みんなどうやって終わらせてるの?/死を想い細胞分裂して新しい生き方をする/福業社会の実現/“家”からの解放/政府の意向でないPublic/コクリスクール/Collective Genius/ライザップ行くなら農作業しませんか?(ビール冷えてます)/旅という学び/地方に普通の中小企業のサラリーマンを流入させる/1人1研究所社会/透明フラット社会/扉を開けたら同じヘヤだった/EXECUTIVE FOR SOCIAL GOOD/一億総先生社会/次の時代を創る2つ目のものさしを海士町で試作し世界に広げるには?/みんなの未来政策会議/20~30万人の中規模都市が世界の地域とつながるあり方とは?/帰れる場所を好きなだけ持てる/子どもたちによる未来の学校アイデア会議/マイ・コビッツ/異なるセクターをつなげる稼げる人材づくりプロデューサー/文化と発信と継承と/風の谷/家族に代わるものは何か?

皆さんの感想のごく一部をご紹介

正直、舐めてました。めちゃくちゃ面白かったです。面白かったというよりも、世の中の流れを強く感じて、心が震えました。自分自身の進むべき道に、遠慮がなくなった気がします。本当にありがとうございました。(武井浩三さん・ダイヤモンドメディア株式会社 代表取締役)

楽しかったです。特にボディワークは、チームの人たちとの距離感がぐっと縮まった感じでした。言葉を交わすことで縮む距離感に比べ、体を使って支え合うことの重要性を感じました。大学の教育でも取り入れられるところがないか、検討していきたいです。(湯浅誠さん・社会活動家/法政大学教授)

おもしろかった。日頃色々仕掛けている人が集まっているので不思議な連帯感がありました。(安宅和人さん・ヤフー株式会社 CSO(Chief Strategy Officer)/慶應義塾大学SFC 特任教授)

個人的にはコクリに対するコミット力が以前よりもあがりました。場所がほんとによかった。(柳澤大輔さん・面白法人カヤック 代表取締役CEO)

身体ワークのとき、言葉が飛んだ時間があって、言葉が戻ってくるのに時間がかかったのが印象的。身体のワークを終えて、みんなで話し合っていたころに、チームのみんなに対して家族や友達のような感覚が芽生えた。言葉のつながりではない関係。(上田壮一さん・一般社団法人Think theEarth理事/プロデューサー/多摩美術大学客員教授)

日本の代表的な社会変革推進者たちの相当数が集まっているのが壮観でした。しかし、その方達の一人ひとりが出したキーワードが全くバラバラだったことには驚きました。これは社会にとっては良いことなのか良くないことなのかを考え続けて行きたいと思います。(高間邦男さん・株式会社ヒューマンバリュー会長/ATDインターナショナルネットワークジャパン理事・組織開発委員会委員長)

これまで何回か参加させて頂きましたが、今回が一番自分の中で「はっ!」とさせられる瞬間が多かったです。私自身にとって、「過去、現在、未来を結びつけ、これからアウトプットするものを想像する時間」でした。(小宮山利恵子さん・リクルート次世代教育研究院 院長)

身体をつかったワーク。この世界は、おもっているより優しいってことが腹落ちしました。これからも身体にきいてみるという感覚を大事にしたいと思います。がんばってきたみんなを抱きしめたい気持ちになりました。(長友まさ美さん・サンワード・ラボ株式会社代表取締役/宮崎てげてげ通信 会長)

やっぱり「遊び」が(も)大事だ。マジメに責任感でガッツリやるのも良いけど、意図的に遊び・余白・自由時間をつくっていこう。と思った時間。(岩本悠さん・島根県 教育魅力化特命官/地域・教育魅力化プラットフォーム 共同代表)

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