• 2015/12/08
  • Edit by HARUMA YONEKAWA
  • Photo by HIROSHI MIMURA

コクリ!ラボ・インタビュー(3) 京都のまちづくりびとの FBタイムラインを「コクリ!」で染めた日

2015年10月14日~16日の3日間、「第8回コクリ!ラボ in 京都(コクリ!京都)」を開催しました。
1日目はKRP町家スタジオ、2日目はちおん舎、3日目はImpact Hub Kyotoで開催した

山本恵果/京都市山科区役所地域力推進室企画係長、京まちコ(京都まちづくりコーディネーターの会)メンバー

松井朋子/京都市文化市民局地域自治推進室 まちづくりアドバイザー、京まちコ(京都まちづくりコーディネーターの会)メンバー

杉崎和久/法政大学法学部政治学科教授、まちづくりコーディネーター、ファシリテーター、京まちコ(京都まちづくりコーディネーターの会)メンバー

2015年10月14日~16日の3日間、「第8回コクリ!ラボ in 京都(コクリ!京都)」を開催しました。第4回の熊本・黒川温泉に続いて、2回目の地域開催です。なぜ京都で行ったのか、どのような場だったのか、その後の反響はどうなのか。京都チームの中心メンバー4名のうち、まついちゃん(松井朋子さん:まつ)、けいかさん(山本恵果さん:けい)、杉崎さん(杉崎和久さん:すぎ)にお話を伺いました。なお、もうおひとりのしまっちさん(島田昭彦さん)には改めて語っていただく予定です。

京都に来ていただくからには、最上級を提供する

――なぜ京都で開催しようと思ったのですか。

まつ 昨年の秋、黒川温泉でラボが行われた後、けんしゅうさん(嘉村賢州さん・京都チームの中心メンバー・現在長期休暇中)は「次の地域開催は、ぜひ京都で」と言っていました。「京都の現場で動いている人たちに、ぜひもっとラボに参加してもらいたい。そして、京都のなかでコクリ!的なコミュニケーションを起こし続けていきたい。そのためには、まず京都でラボを行わないと」というのが、その理由です。

まついちゃん(松井朋子さん)

すぎ 僕はこれまで、コクリ!ラボには一度しか参加していなかったのですが、その場でいきなり、「ラボを京都で開きたい!」と思いました。ラボメンバーのほとんどが「現場の人」なのだから、現場に肌で触れ、現場で話してもらったほうが、いろいろと面白いのではないかと感じたからです。

けいかさん(山本恵果さん)

――準備で気をつけたことは?

けい 8/8に愛ちゃん(三田愛さん)がイベントで京都に来たのにあわせて、翌9日に、愛ちゃんに「しまっちさんの京都コクリ!ツアー予定コース」を体験してもらい、10日に中心メンバーが集合して準備が始まりました。

「スキマに新しい価値を埋め込む五条ツアー」を案内中の杉崎さん(杉崎和久さん)

まつ 私たちにとって大きな転機となったのは、9/13に喫茶YAOMONの上で行った会合です。その場ではじめて、コクリ!ラボ in 京都を実行した京都チームの面々が一堂に会したんです。普段のメンバーに加えて、場とつながりラボhome’s viの荒ちゃん(荒川崇志さん)やにっしー(西尾直樹さん)など、今回運営に協力していただいた京都の中の方々に集まってもらい、結束を固めました。この場でコンセプトがより明確になったことは、大きな転機でした。

すぎ 愛ちゃんたちをはじめとする東京チームとしまっちさんを交えて、何度も行った「スカイプミーティング」もポイントだったと思います。愛ちゃんとしまっちさんが、毎回叱咤激励しながら、僕らの「追い風」となってくれたことが大きな力となりました。そのおかげで、僕らはいつも三歩先を考えながら、京都コクリ!ツアーの面白さを本番前に各々言語化できた。振り返ると、このことに大きな意味があったと思います。「京都に来ていただくからには、最上級を提供する」。しまっちさんが掲げた合言葉に向かって、僕らもしっかり準備を進めることができました。

京都の現場の人たちに、「思いの根っこ」を話していただいた

――「京都コクリ!ツアー」で印象的だったことは何ですか?

●京都コクリ!ツアー……2日目に行った「京都コクリ!ツアー」は、4人がそれぞれ自分に縁のある京都を紹介していくイベント。しまっちさん(モダンと伝統の融合ツアー/パスザバトン京都祇園店、京都市動物園)、けいかさん(伏見ヨソモノプロデューサーツアー/piers’n’peers、伏見きたせ昆布老舗など)、まついちゃん(学生を介した世代をつなぐツアー/京都XキャンプPaKT/マナビノバしもがも教室など)、杉崎さん(スキマに新しい価値を埋め込む五条ツアー/つくるビルHAPSなど)とバラエティに富んだツアーコースが用意された。京都外から集まったラボメンバーは、4つのコースのいずれかを選び、それぞれの現場で対話しながら、京都のまちづくりを体感していった。

1日目と3日目に門川大作京都市長が来訪し、ご自身の想いの根っこを話してくださった

すぎ 僕らのツアーに共通しているのは、準備の途中で愛ちゃんから「お会いする皆さんの〈思いの根っこ〉と〈北極星(大きな将来の目標)〉を聞きたい」というリクエストが入って、そのことをツアーで伺う現場の皆さんに伝えたら、全員が本気になってくれたということです。

しまっちさんの「モダンと伝統の融合ツアー」では王道の「京都」を巡った

まつ 私の場合、「PaKT」のしゅーしくん(松榮秀士さん)にそのことを伝えたら、「それなら学生たち一人ひとりに、思いの根っこを話してもらおう」と提案してくれたんです。当日の彼らの話がまた感動的で、ラボメンバーが話を聞きながら涙を流したほどでした。あとで聞いたら、学生たちは、自分の伝えたいことを伝えるために、しゅーしくんに何度もアドバイスをもらいながら自分自身と向き合い、4週間をかけて企画を作り上げてくれたのだそうです。本当にありがたいことでした。

まついちゃんの「学生を介した世代をつなぐツアー」では、学生のストーリーテリングが印象的だった

けい 私の「伏見コース」は、皆さんにぜひ紹介したかった「piers’n’peers」の藤崎壮滋さんと何度も打ち合わせして進めました。当日はなかなかうまくいかなかった部分もありましたが、藤崎さんはツアー後の懇親会にも来てくださって、じゅんさん(齋藤潤一さん)と話が盛り上がっています。じゅんさんは、ついこの前、京都にも来てくれました。

ちおん舎では、西村吉右衛門さんに京都の自治の歴史について語っていただいた

すぎ せっかく現場に来ていただくのだから、ネットで知り合って聞ける話を聞いてもらっては意味がない。僕だからつなげられる京都の現場の人たちに、ぜひホンネを話してもらいたかった。一般的な視察とは違うものにしたかったんです。何に悩んでいて、どの部分が苦しくて、どこは突破できたのかといったことは、僕も普段はなかなか聞かないことですが、「五条ツアー」の本番では、その点を深く対話してもらうことができました。「つくるビル」の運営マネージャー・石川秀和さんは、出張中の鹿児島からわざわざスカイプで対話に参加してくれました。みなさんの本気をビシビシ感じました。

けいかさんの「伏見ヨソモノプロデューサーツアー」で、piers’n’peersの藤崎さんと対話

すぎ しまっちさんのツアーはまさに王道の「京都」、お墨付きの内容でしたね。今思えば、しまっちさんが全体の品質を担保してくださったからこそ、私たちは安心して自由に行動できたのだと思います。

杉崎さんの「スキマに新しい価値を埋め込む五条ツアー」で、現場の方々にメンバーがインタビュー

まつ もちろん、コクリ!でお会いする前からお名前は知っていたのですが、こうして同じプロジェクトで動き、しまっちさんの仕事ぶりを垣間見ることができたのも、個人的には嬉しいことでした。

それから、想いの根っこという意味では、1日目に門川大作京都市長がいらっしゃって、ご自身の想いの根っこを話してくださったのは印象的でした。メンバー全員がインパクトを受けていましたし、私自身も市長を見る目が変わりました。

コクリ!の存在を、京都に知らしめることができた

――もう一つのメインイベントが「オープンデイ」でしたが、いかがでしたか。

●オープンデイ(コクリ!エンゲージメントプレイス)……オープンデイは、コクリ!ラボの外側にいるゲストの方々と、ラボメンバーの対話の場。今回は、門川京都市長、ちおん舎・西村吉右衛門さん、半農半X研究所・塩見直樹さん、京都移住計画・田村篤史さんなど、20名以上の京都のまちづくりのキーパーソンをゲストにお呼びして、3時間以上にわたってコクリ!の場を体感していただいた。

コクリ!メンバーと京都の方々が円をつくる

まつ オープンデイについては、最初からまったく心配していませんでした。人選には自信がありましたから。

すぎ コクリ!の「コ」でわかっていただける方々ばかりに声をかけましたからね。京都には、コクリ!的な雰囲気がもともと根付いているので、すぐにわかっていただける方が多い。これは京都の強みだと思います。実際、皆さんのノリもよかった。

オープンデイでは、「京都コクリ!大冒険」「地方マーケットのつくり方」などのテーマを出し合って対話した

けい 出された話題も対話の中身も面白かったです。

最後はそれぞれの想いを交しあった

まつ 京都の中の人からすると、あの面々が一堂に会するというのは、本当にスゴイことだったんです。京都のゲスト同士でも「会いたかったのになかなか会えなかったあの人に会えて、嬉しかった」という声がいくつも上がったほどです。おかげであの日、京都のまちづくりにかかわる人たちのFBタイムラインは、一日中「コクリ!」一色になったようで、それ以来「コクリ!」というと、「ああ!あの集まりは一体何だったの?」などと、よく言われるようになりました。コクリ!ラボの存在を、京都に知らしめることができたと思います。ゲストの皆さんとラボメンバーとのつながりが生まれたのもよかった。例えば塩見さんは、「半農半X」のイベントを早速東京で行うそうですね。

ファシグラ(ファシリテーション・グラフィック)の達人、はるくん(石橋智晴さん)がコクリ!をすばらしいビジュアルに

来年もコクリ!京都を開きたい

――何か課題はありますか。

すぎ コクリ!ツアーはある程度成功したと思いますが、現場でコ・クリエーションを起こすまでには至りませんでした。本当に、現場でいきなりコ・クリエーションの深い対話を行うのだとしたら、自分の現場に連れて行かないと難しいですね。その点は少し心残りがあります。

けい コクリ!ツアーでは反省が多いです。私が場をまわすべきだったと思っています。

まつ 特にオープンデイで、ラボメンバーと京都の人たちが互いの実績や想いを知り合えば、きっともっとつながりやすかっただろうと思います。全員のプロフィールを集めた資料を事前に配ることができたらよかったかもしれません。

――後日談や今後について、聞かせてください。

まつ その後、参加してくださった皆さんに、メールや対面で感想をお聞きしているのですが、熱い返信やメッセージが続々届いています。参加してよかった、熱量の高い場で感銘を受けたといった声が多いです。

すぎ コクリ!ツアーに協力してくれた人たちとは日常的にお付き合いがあるので、さらに交流を深めていきたいと思います。あと、できたら今後も、どこかでコクリ!の地方開催をしてほしいと思いますね。一方、京都でもオープンデイのような状況を次々に生み出したい。京都の場合、中に面白い人がたくさんいて、それだけで十分に楽しいから、意識的に開かないと開く機会がありません。だからこそ、オープンデイが必要だと思います。

けい 同感です。今回は私自身もコクリ!を改めて深く肌で感じることができたし、私の周囲でもこうした場を創りたいと強く思うようになりました。

まつ 「京都の中の人向けのコクリ!ツアー」もあっていいのではないかと思います。京都にはまちづくりの場やチャレンジがたくさんあるから、意外と中の人が中のことを知らないんです。

すぎ よし、来年以降も僕たちが中心になって、定例で「コクリ!京都」を開きましょうよ。

まつ いいですね。京都Xキャンプの片木先生(片木孝治さん)はすでにいろいろと協力してくれると宣言されていますし、他にも力になってくれる方がいらっしゃると思います。

すぎ 皆さん、参加してくださいね。お待ちしています!

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