• 2015/07/09
  • Edit by HARUMA YONEKAWA
  • Photo by TOYOAKI MASUDA

第1回コクリ!プチキャンプ・インタビュー 愛ちゃんが「一人の参加者」になることを、実はみんなが待っていた

コクリ!キャンプからほぼ3カ月後の5月15日(金)、第1回コクリ!プチキャンプを開催しました。

愛ちゃんが「一人の参加者」になることを、
実はみんなが待っていた

コクリ!キャンプからほぼ3カ月後の5月15日(金)、第1回コクリ!プチキャンプを開催しました。今度の参加者は30名ほど。地域、自治体、企業、国、NPO、大学などのメンバーが、コクリ!プロジェクトの次のフェーズをどのように作っていくかを皆で考えるために集いました。プチキャンプを具体的にどのような場にしたいと思ったのか、実際はどのような場になったのか、コクリ!プロジェクトはこれからどこに向かうのか。今回、愛ちゃん(三田愛さん)に替わってファシリテーションを務めた賢州さん(嘉村賢州さん)にお聞きしました。 
※参加者の皆さんの一覧は、最後に掲載しています。

最初に皆で、第1回コクリ!キャンプの映像を改めて観て、あの時の経験や気持ちを思い思いに振り返りました

お客さんモードを消したくて、
ファシリテーターを引き受けた

2月のコクリ!キャンプは、素晴らしいメンバーが130人も集い、平場で5時間対話をした画期的なイベントだった。5年、いや3年でも彼らと一緒に走り続けられたら、世の中は間違いなく良くなる。しかし、次も同じ場を創ればよいと安全圏に走ると、一気に面白くなくなるだろう。初めはめったに会えない人と共にいるだけで楽しいけれど、その新鮮さは徐々になくなり、ここで何が生み出せるかが問われるようになる。参加者は忙しい方々ばかりだから、何も生み出せない場だったら、すぐに来てもらえなくなるだろう。1回ずつ、質の高い場を用意していかなくては。今回、愛ちゃんからコクリ!プチキャンプの内容を一緒に考えてほしいと相談を受けたとき、最初にそんなことを考えました。

嘉村賢州さん/NPO法人場とつながりラボhome's vi 代表理事

コクリ!キャンプは構造上、どうしても愛ちゃんが中心で、タネビストの方々は「お客さん」でした。コクリ!プチキャンプでは、ぜひお客さんモードを消して、全員が等身大の愛ちゃんと対等な関係になってもらいたい。そして、自分ゴトとして一緒に走っていく仲間を創りたい。そのためには、愛ちゃんに、精魂込めて作った事前資料を手放し、ファシリテーターのポジションを手放してもらう必要があると思いました。率直にそう話したら、「賢州さん、ファシリテーターやってもらえませんか?」とお願いされたんです。今回、愛ちゃんがファシリテーターを降りて、僕がファシリテーター兼参加者になったのは、こんなやり取りがあったから。コクリ!プチキャンプ前日のことでした。

愛ちゃんのストーリーテリング。愛ちゃんが皆さんの疑問に答えることで、一人ひとりがコクリ!プロジェクトへの理解を深めていきました

「どんどん動きたかったけど、
 勝手に動いていいのか分からなかった」

今回のコクリ!プチキャンプを振り返って印象的だったのは、第一に、愛ちゃんがファシリテーターのポジションを手放して「一人の参加者」になるのを、実は参加者全員が待っていたということ。プチキャンプが終わった後の懇親会で、「手放す」がキーワードの一つになっていたほどでした。愛ちゃんが事前資料を手放して、ストーリーテリングという形でコクリ!プロジェクトについて語り、皆と質疑応答を交わしていったのもよかった。「手放した」のは、正しい選択だったのだろうと思います。

コクリ!プロジェクトについて「分かっていること」「分かっていないこと」を全員で挙げて、模造紙にまとめていきました。この後、分かっていないことを解消するための対話を実施。皆さん、かなり理解が進んだようでした。

コクリ!キャンプ以降、コクリ!活動を始めたいけれど、どうしたらよいのか分からずに戸惑っていた人が実は多かった、ということが明らかになったのは、大きな収穫でした。「どんどん動きたかったけど、勝手に動いていいのか分からなかった」というまさみさん(前原まさみさん)の言葉が象徴的。これは、コクリ!する上でのルール、倫理観、エチケットが十分に伝わっていなかったことが原因だと思います。少なくとも、今回プチキャンプに参加された方々は、これで遠慮なくコクリ!活動に邁進していただけるでしょう。一方で、どうしたら皆が自分のタイミングで、より良くコクリ!技法を使いこなせるかという点は、さらに話し合いが必要だということも感じています。

愛ちゃんのストーリーテリングの後は、小チームに分かれて、一人ひとりのストーリーテリング。コクリ!プロジェクトが自分にとってどのようなものかを語り合っていました

OSTの対話の内容が、「私たちの提案」になっていたと思う

なかでも素晴らしかったのは、OSTで対話した内容をチームごとにシェアした時間です。プチキャンプは、コクリ!プロジェクトの未来を問う場でしたが、それに対してOSTで面白いテーマがたくさん生まれましたし、何より発表内容が「私たちの提案」になっていた。主語が「私たち」になっていたんです。このとき、当初の目的が達成できたと感じました。僕はこれまで、日本全国のさまざまな場でファシリテーションを行ってきましたが、お客さんモードは消そうと思ってもなかなか消せないもの。僕の手腕などではなく、この場をチャンスだと感じている人、ここでチャレンジしたいと思っている人がそれだけ多かったからこそ、実現できたことです。プチキャンプの数時間で、コクリ!プロジェクトが皆さんにとって思い入れのあるものになったのではないでしょうか。なかでも数人の方は、早くも次のフェーズを自分ゴトとして考え始めています。彼らには、愛ちゃんが直接バトンを渡すことができたのではないかと感じています。

地域で孤独に戦っている方々にとって、コクリ!ラボやキャンプは、心おきなくチャレンジできる場、本当に勇気をもらえる場です。地域で活動する者の一人として、僕はコクリ!プロジェクトの価値の大きさをいつも感じています。今後、僕もまた一参加者として、果敢にチャレンジしていきます。

OSTは、テーマごとにおおいに対話が盛り上がり、もっと時間が欲しかったという声も

チャンスをムーブメントに変えていくのは、僕ら一人ひとり

世界を変えるイノベーションは、成功するかどうか分からないような突飛なアイデアから生まれるもの。僕の目から見ると、コクリ!キャンプやコクリ!ラボ、今回のプチキャンプは、助け合いと創発のプラットフォームを目指すまったく新しい試みで、チャンスは大きいけれど、だからこそ先行きは未知数です。コクリ!キャンプ、プチキャンプに集った方々には、そのことが分かっている方がたくさんいらっしゃる。約束された成功に乗っているわけでない人が多い点に、大きな可能性を感じます。コクリ!プロジェクトは、うまくいけばそれ自体がイノベーションを次々に生み出せる場になるはずです。

休憩時間も、対話の時間。休憩時間に「コクリ!の種」が生まれることも珍しくありません。

今後、このチャンスをムーブメントに変えていくのは、僕ら一人ひとり。日本や地域を根底から変えるには、まずは僕らが関わり方を一から変えていかなくてはなりません。これから愛ちゃんには、自分では分からないこと、モヤモヤしていることも含め、すべてを吐き出していってもらいたいと思います。一方の僕らは、自らコクリ!プロジェクトの創り手、提案者、仕掛け人、実践者に回っていく必要がある。そもそもコクリ!的な情報共有やコミュニティづくりから、前例のないチャレンジになるはずです。皆で知恵を出し合い、頑張っていきましょう。

OSTの内容のシェアはそれぞれ短い時間でしたが、対話の濃度がよく分かるものばかりでした

第1回コクリ!プチキャンプ概要

5/15(金)に開催。30名ほどのメンバーが、4時間交わし合いました。コクリ!プロジェクトの次のフェーズをどのように作っていくかを皆で考えるために開かれた場です。主なプログラムは、●コクリ!キャンプの振り返り ●愛ちゃんのストーリーテリング ●コクリ!プロジェクトについての質疑応答 ●グループ対話 ●OST(オープン・スペース・テクノロジー)を使った対話と、グループごとの対話内容のシェア。その後、懇親会も行いました。OSTのテーマは、「具体的なプロジェクトを起こそう」「〈ギブから始めよう〉のギブとは?」「地域が必要とするコクリの姿」「本気で自己組織化するには・コクリコミュニティの作り方」「成功の定義」「コクリ!のレシピ化」。

今回のプチキャンプで最も印象的だったキーワードは「スナック愛」。コクリ!プロジェクトが、まさか「スナック愛」だったとは。

〈参加者の皆さん〉(順不同・敬称略)

横田親/丹波市議会議員
坂倉杏介/東京都市大学都市生活学部准教授、慶應義塾大学グローバルセキュリティ研究所客員研究員、三田の家LLP代表
但馬武/社会を変えていく人が集う場を創るhome仕掛人
土肥梨恵子/慶應義塾大学総合政策学部
嘉村賢州/NPO法人場とつながりラボhome’s vi 代表理事
山川知則/株式会社文祥堂 CSR事業室
三田愛/リクルートライフスタイル事業創造部 じゃらんリサーチセンター研究員
島田昭彦/京都観光おもてなし大使、株式会社クリップ 代表取締役社長
関治之/一般社団法人コード・フォー・ジャパン 代表理事
前野隆司/慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科委員長・教授
藤井薫/リクルートホールディングス 中長期戦略室 エバンジェリスト兼Works編集企画
保井俊之/慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科 特別招聘教授
大島正幸/木工房ようび 代表・職人
殿倉由起子/株式会社太陽農場勤務、日本野菜ソムリエ、協会認定野菜ソムリエ、国際ポムリエ協会認定ポムリエ
森成人/気仙沼市役所 震災復興支援チーム(経済同友会より出向)
谷内博史/富山県氷見市企画振興部市民参加と協働・防災のデザイン課副主幹、市民参加・ファシリテーション総括担当
長濱孝広/株式会社リクルートコミュニケーションズ クリエイティブディレクター
戸田裕昭/株式会社イトーキ 経営企画部
沢登次彦/株式会社リクルートライフスタイル 事業創造部 部長兼じゃらんリサーチセンターセンター長
関山大輔/中小企業庁 創業・新事業促進課 新事業促進専門官
山田崇/塩尻市 企画政策部 企画課 シティプロモーション係 主任
太田直樹/総務大臣補佐官
前原まさみ/よしもとクリエイティブ・エージェンシー 業務推進プロデューサー
鹿島修二/三越伊勢丹ホールディングス 営業本部 営業政策部 MD戦略担当MD政策 マネージャー
藤原正賢/一般社団法人信州若者会議へインターン中、慶應義塾総合政策学部休学
野村恭彦/株式会社フューチャーセッションズ代表取締役、金沢工業大学(KIT 虎ノ門大学院)教授

プチキャンプの成果を基に、現在、「実行委員会」が新たに立ち上がり、全体構想をまとめています。今後、その構想についても随時お伝えしていきます!
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