• 2018/04/11
  • Edit by HARUMA YONEKAWA
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コクリ!2.0インタビュー(1)コクリ!2.0って、ちょっと中途半端じゃないですか? ●藤代健介さん

「コクリ!のおかげでプロジェクトが生まれたと言われるのは違和感がある」「コクリ!としての未来への意志が知りたい」けんちゃん(藤代健介さん)が、コクリ!2.0に物申す!

2016年末から始まった「コクリ!2.0」。その参加者は、コクリ!2.0の場をいったいどのように感じているのか。長期間参加するメンバーには何か自己変容が起きているのか。その辺りについて伺っていく「コクリ!2.0インタビュー」を始めました。第1回は、「Cift」の発起人、けんちゃん(藤代健介さん)にお話を伺いました。なお、けんちゃんには、2017年のコクリ!キャンプ2017から参加していただいています。

※研究チーム参加者:愛ちゃん(三田愛/じゃらんリサーチセンター研究員)、賢州さん(嘉村賢州さん/NPO法人 場とつながりラボ home’s vi 代表理事)

コクリ!としての未来への意志が知りたい

賢州 けんさんには、昨年の「コクリ!キャンプ2017」と「コクリ!キャンプ延長戦」に参加してもらいました。まずはその感想を伺えたらと思います。

けん 「1人のゲストとして、コクリ!という遊び場に参加した」という印象が強いですね。2回とも楽しい時間を過ごせましたし、キュレーションされた参加者の皆さんとのご縁をきっかけにして、いくつもの機会に繋がっていることに、深く感謝しています。

けんちゃん(藤代健介さん)

ただ、たった2日ですから、「その場で何か気づきを得ましたか?」と言われても、それほど大きな気づきが得られたとは言いづらいですし、「コクリ!のおかげでプロジェクトが生まれた」と言われるのは少し違和感があります。例えば、僕はコクリ!キャンプをきっかけにして、ヤフーの安宅さん(安宅和人さん)が始めた「風の谷プロジェクト」に参加していますが、このプロジェクトは安宅さんの中にコンセプトがあって、コクリ!はあくまでも、その初動のきっかけと人のマッチングをしたというところで機能したと見ています。

コクリ!は、全体の意識体として統合されていくというよりも、自分らしさを発酵させられる豊かな土壌という印象を持ちました。なので、ゲスト的な感覚を覚えたのだと思います。個人的には、このくらいおもてなしの強い場を続けていくのなら、むしろ僕らから参加費を取ったほうがいいのではないかという感じがします。逆に、共に歩んでいく仲間になっていきたいのなら、全員がチームとして、外部から予算を引っ張ってくるモデルのほうがいいと思います。いずれにしても、ちょっと中途半端な印象を受けています。僕は、コクリ!がスポンサーありきのモデルであることにどこか健全でない感じを受けていて、どうやってコクリ!がサステイナブルなエコシステムになっていくのか、そして自分がどうやってその全体の一部になっていくのかというイメージがまだついていません。

それから、コクリ!は「GIに対する何かしらの意志」を持ったほうがいいのではないかと思います。というのは、僕が起ち上げたCiftでは、「自己変容を通じて主体的全体な態度として意識家族になっていく過程の叡智を共有することが平和活動である」といった存在意義を定義しています。これは、僕たちが共通して持っている大事な価値観があるということです。そうすることで、多様的でありながらも、一貫性のある組織になると思うからです。

コクリ!もGI、プロトタイプ、キーワードといった構造だけではなく、共通できる価値観を持つような言葉の定義をしてもいいのではないかと思うのです。特に、外側に価値をアウトプットするためのものですね。内側の価値観はすでに充実しているのと思うので。内と外の新陳代謝の健全性を持てたらいいのでは、と勝手ながら思います。

本当に自分がやりたいことは自分では説明できないもの

 けんちゃん、正直に話してくれてありがとう。私たちの考えを順番に説明していくと、まず私たちは、コクリ!研究チームがGIのベクトルを決めるのはつまらないと思っています。理由は簡単で、私たち研究チームには、GIがわからないからです。GIは、あくまでも皆さんの潜在的意識や集合知のなかにあるものだ、というのが私たちの仮説で、それをみんなで対話しながら探究するのがコクリ!の場なんです。だから、けんちゃんもそうだけど、私たちは「新たなうねりを探究し続けている人」に声をかけているんですね。

賢州 僕はつねづね「名前に魂が宿る」と思っているんですが、コクリ!プロジェクトもまさにそうで、コクリ!の場には、「コ・クリエーション」しかないんですよ。僕はこれまで研究チームの一員として、愛さんと何度も何度も話してきましたが、愛さんからは「コクリ!が目指す方向」や「100年後に世界がどうなればいいか」といったことの答えは一切出てきませんでした。もちろん、けんさんのように、「コクリ!のゴールはどこにあるんですか?」といった問いをする方がこれまでに何人もいましたけど、愛さんはその答えをまったく持っていないんです。

ただ、愛さんは、みんながつながって語り合い、コ・クリエーションを起こしていけば、100年後に「歴史が変わった」と言われるような何かを生み出すことができるに違いないと信じているんです。そして、その確信に沿って、ひたすら対話と共創と探究を続けているだけなんですね。愛さんはプロセスにしか興味がないんですよ。

 対話を通じて、みんなが「こっちだ」と思った方向にうねりが動いているはずで、そのうねりを見つけたら、束になって行動を起こし、時代を超えていきたいと思っているんです。

賢州 僕が尊敬するヒデさん(榎本英剛さん)は、『本当の自分を生きる』(春秋社)という本の中で、「理由なく自分の中から湧いてくる『内なる声』は天からの贈りもの」だとおっしゃっています。榎本さんの場合は、若い頃に「なぜかわからないけど留学したい」という気持ちがあったんですね。でも、その理由を説明できなかったために、会社の海外留学制度に落ち続けて、最終的に自費留学をされました。そのとき、「これといった明確な理由があるわけではなく、しかもそれをするには多大なリスクと困難が伴うにもかかわらず、それでもやりたいというのは、それが自分を超えたどこかから来ているとしか考えられ」なくて、「自分の恐れからそれに従わないのは天に対する冒涜かもしれない」と思ったんだそうです。僕はヒデさんのおっしゃる通り、内なる声は、自分を超えたどこかから来る天からの贈りものなのだと思います。言い換えると、本当に自分がやりたいことは、おそらく自分では説明できないんですよ。愛さんがコクリ!の目指す方向を説明できないのも、愛さんが本当にやりたいことだからだと僕は思っています。

 付け加えておくと、私たちは、コクリ!から生まれたプロジェクトをコクリ!のものだとは思ってないですよ。そこは誤解してほしくありません。

賢州 そうですね。僕もそこはまったく同感で、コクリ!から立ち上がった動きはコクリ!のものではないですね。

コクリ!はみんなが思いきり遊べる「大人の砂場」だ

けん なるほど。

賢州 別の言葉で説明すると、コクリ!は「大人の砂場」なんですよ。「大人がとことん砂場で遊んだら、いったい何が生まれるか?」を追求しているんです。子どものときは、夕方からでも夢中になって砂のお城づくりなんかを始めるじゃないですか。でも、大人になると、そうした気持ちをどうしても失ってしまう。大人たちがその気持ちを取り戻したら、きっと時代を動かす何かが生まれるんじゃないかと僕たちは考えているんです。コクリ!に集まる皆さんは、「最前線の悩み」を持っていますよね。その皆さんが本気で子ども心に返って遊んだら、そうした悩みをきっかけに何かうねりが見えてきて、新たな「創発」が生まれるはずだというのが、僕らの仮説です。

けん じゃあ、冒頭で話した僕の感想は間違ってなかったんですね。コクリ!は「遊び場」で、愛さんがお母さん、参加者が子どもで、みんなが愛さんが見守るなかで思いきり遊んで、終わったら「ワー、楽しかった!」と帰る場所なんですね。それならよく理解できます。

つまり、僕の言葉で言えば、コクリ!は「母性系コミュニティ」なんですね。実は、Ciftは、意識から入る「父性系コミュニティ」の要素が強いコミュニティです。コクリ!は逆で、「集まるのが大事!」「みんなでやろうよ!」と態度から始まる母性に満ちたコミュニティなんですね。もっと言うと、僕にはコクリ!を起ち上げた愛さんが、「女神」的存在だと解釈できます。コクリ!の場はいつも、プログラムも環境もすべて最初に作り込んでいるじゃないですか。その上で、参加者をその場に集めて、始まったら無上の愛ですべてを見守りきる。これは人間界に介在しない神的態度で、まさに女神ですよ(笑)。

賢州 愛さんが女神かどうかはわかりませんけど(笑)、初期値だけを決めてあとはできるだけ介入しない「自然農メタファー」で場を創っているのは確かで、その点はけんさんの見方で間違いありません。

 私も自分が女神なのかどうかはわからないけど(笑)、私がコクリ!の場で見ているのは、「一人ひとりのエネルギーの純度が高まっているかどうか」「場の全員のエネルギーが、新しいうねりを創りだすのに必要なハーモニーを奏でているかどうか」の2点だけですね。場が始まったら、その2つだけを見ながら皆さんを見守っています。

コクリ!は「女性性=ラブ」を大事にしている

賢州 先ほど藤代さんが「母性系・父性系」の話をしていましたが、コクリ!も、いまの世の中を「男性性=パワー」と「女性性=ラブ」の対比で捉えています。私たちは、現代は全体的には男性性=パワーが強い傾向にあると感じています。その結果、本当はみんなが集合意識でつながっているはずなのに、分断が起きてしまっているのです。その分断を解消するには、女性性=ラブの力をもっと強める必要があります。対話でつながり、仲良くなるんですね。だからこそ、コクリ!は女性性=ラブを大事にして、対話とつながりを続けているんです。とはいえ、もちろんパワーも大切で、特に物事を前に進めるときにはパワーが必要だと思います。

けん 確かに、コクリ!には、全体の中に男性的なパワーは少ないですよね。

賢州 コクリ!は「ラブの場」をつくって、ふだんパワーを発揮している皆さんに、いかに緩んでもらうかに注力していますからね。とはいえ、100年後に「歴史が変わった」と言われる社会実験をすることにはこだわっていて、その点にはパワーも必要だと考えています。

 コクリ!のパワーについては、これからきっと、私以外の誰かがバランスを取ってくれるはずです。例えば、すでに直樹さん(太田直樹さん)がビジョナリーとして活躍してくれています。

けん この2時間で、コクリ!の理解が深まりました。それから、Ciftとコクリ!をあえて相対すると、父性系と母性系、意識系と態度系、みたいなところでの対比が面白くて、コミュニティとしてそれぞれがどう発酵していくのかが楽しみです。

藤代健介さん
1988年、千葉県生まれ。東京理科大建築学科卒。慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科在学中に、理念を場に翻訳するデザインコンサルティング会社prsm(プリズム)創設。その後、被災地のコミュニティセンターのコンセプトファシリテーション、大手百貨店の組織構造改革、大手不動産会社のオープンイノベーションプログラムコーディネーター、地方自治体とのまちビジョン策定などに多重的に携わる。2015年に世界経済フォーラムのGlobal Shapers Communityに選出され、2016年度Tokyo Hubのキュレーターを務める。Forbes 30 Under 30 Asia 2018のThe Arts部門に選出。2014年には人生をプロトタイプする半年限定のコミュニティPROTOを創設し解散。2017年5月からは意識家族を通して平和活動を実践する拡張家族Ciftを創設しその一員となる。

 

「問題になる前」に取り組んで、世の中の「生きにくさ」を減らしたい――「夢のワーク」と「コクリ!研究合宿」

 

2018年6月の「コクリ!研究合宿@フフ山梨」を経て、なおこさんは、問題になる前に挑戦しないと、世の中の生きにくさを減らすことはできないことに気づいて「家族計画建築」を思いつき、「家と家族についてのラーニングコミュニティ」を立ち上げることを決心しました。

 

コクリ!の深い話(13)知性主義と反知性主義を「同根」と捉えない限り、何も解決できないのではないか? ●ドミニク・チェンさん

 

「大きくならない都市をつくることもできるのでは」「ユーザーが場を発酵させて良い状態にしてくれたWebコミュニティをつくった」「精霊の声やものの声は聞こえる人には本当に聞こえている」といったお話を縦横無尽に伺っていきました。

 

コクリ!の深い話(12)AIが「持続可能で幸せに暮らせるのは地方分散型社会」だと予言した ●広井良典さん×日立京大ラボ

 

「AIを活用した未来シナリオ研究」を行っている京都大学教授の広井良典さんと日立京大ラボの加藤猛さん、福田幸二さんに、「日本の破局を防ぐには、10年ほどで“持続可能性の高い地方分散シナリオ”に持っていく必要がある」というお話を伺いました。

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