• 2018/05/10
  • Edit by HARUMA YONEKAWA
  • Photo by AKANE AOE

コクリ!2.0インタビュー(2)どこに行っても自分であるために“うにょうにょ”を強化する ●原田英治さん

2018年4月からの1年間、海士町に「親子島留学」する英治さんにお話を伺いました。キーワードは“うにょうにょ”です。

2016年末から始まった「コクリ!2.0」。その参加者は、コクリ!2.0の場をいったいどのように感じているのか。長期間参加するメンバーには何か自己変容が起きているのか。その辺りについて伺っていく「コクリ!2.0インタビュー」を始めました。第2回は、英治出版代表取締役の英治さん(原田英治さん)にお話を伺いました。英治さんは、第1回コクリ!キャンプから参加しています。なお、英治さんは、2018年4月からの1年間、海士町への親子島留学をしており、海士町での様子はこちらにも書かれています。 ※インタビューは2018年2月に、第3回のよーちん(麻生要一さん)と一緒に行いました。

※研究チーム参加者:愛ちゃん(三田愛/じゃらんリサーチセンター研究員)
※インタビュー:米川青馬

自分の身体も羽根田さんのカヌーも一カ所に留まるために細かく細かく動いていた

 今日は、英治さんがこれまでコクリ!に参加してきた感想を伺えたらと思っています。

英治 大前提として、別にコクリ!の場だけで、自分に何か大きな変化があったとは思いませんが、コクリ!で一番インパクトがあったのは、2017年2月の「コクリ!2.0@増上寺」で体験した「身体ワーク」です。それ以来、「コクリ!海士」でも「コクリ!キャンプ2017」でも身体ワークを体験しましたけど、増上寺が初めての体験で、とにかく「身体の声を聞く」っていうのが良かったんです。

英治さん(原田英治さん)

その初めての身体ワークで、ファシリテーターの洋二郎さん(橋本洋二郎さん)に、「自分が身体のどの部分を動かしたいのかを探るには、いったん止まってみるといい」というアドバイスをもらいました。それで、止まろうとしてバランスを取ろうとしたら、身体中のいろんなところが“うにょうにょ”と繊毛のように動くのを感じたんですね。指先や脛が、そしていろんなところがムズムズしてきたんです。周りから見れば、四つん這いで静止しているように見えるんでしょうけど、自分の感覚では手のひらや足に繊毛が生えてきて、それがセンサーとなり、絶妙にバランスをとっているような感覚となりました。

その後、この“うにょうにょ”と、その数日前にカヌー選手の羽根田卓也さんの映像を見たことがつながりました。羽根田さんは、川上に向かってカヌーの体勢を少しずつ変えていくことで、パドルをまったく使わずに、川の中で止まっていられるんですよ。つまり、自分の身体も羽根田さんのカヌーも、一カ所に留まるために、細かく細かく動いていたんです。それで、このうにょうにょがあるから、身体中のいろんなところが絶えずセンシングして、少しずつ動いているから、自分はバランスを取っていられるのだと気づきました。それまでの10年ほどは、「バランス=球体」というイメージを持っていて、それが長らく変わっていなかったんですが、バランスのイメージがガラリと更新されたんです。そうしたら、自分が変わりました。それ以来、時代の波に飲まれず、ブレずにどっしりと構え続けるためには、うにょうにょを強化する必要があると考えるようになりました。

うにょうにょを強化するには海士町がいいんじゃないかと思った

米川 その後でコクリ!海士2017に行ったんですね。

英治 そうそう。海士町に行ったときは、もう自分は、“うにょうにょセンシング”を高めようとしている状態でした。そうしたら、そこでべっくと出会って、「ないものはない出版会」を立ち上げるという話になったんです。面白かったのは、そのときに隠岐神社で引いたおみくじが、「儲からないけど利あり」というような内容だったことです。そのおみくじを見て、コクリ!海士はもしかすると、資本主義が行き詰まる世界のなかで会社を経営する自分が、「利益」について改めて考える良い時間になるのかな、と思っていました。そうしたら、3日目にべっくとの対話が盛り上がって。そもそもは、べっくが「ないものはない大学」を創りたいという想いを持っていて、それなら出版会を立ち上げれば、出版物の著者に大学の先生になってもらえるかもしれないし、集客効果にもつながるだろうと、ごく自然に考えました。

インタビューはよーちん(麻生要一さん・写真中央)と一緒に実施

米川 それで、2018年の春から1年間、海士町・親子島留学にも行くことになったということですね。僕が個人的に興味深いのは、英治さんはバランスを取って留まるために“うにょうにょ”を強化しようとしているのに、今回は海士町に移動するということなんですが、それは自然な流れなんですか?

英治 親子島留学も、身体中の繊毛がセンシングを続けた結果でしかなくて、自分としてはごく自然な、スムーズな選択でした。つまり、どこに行っても自分らしくあるために、海士町で自分の繊毛センサーを鍛えたいと考えたんです。海士町は本当に「ないものはない」ので、不便なんですよ。でも一方で、地方創生の先進地として全国から大勢の人が訪れ、島の人々と一緒に未来づくりに取り組んでいる場所でもあります。まさに「動的な世界」を、全体観をもってとらえられる場所じゃないか、“うにょうにょ”を強化するには、そんな環境がいいんじゃないかと思ったわけです。それに、もちろん最初は僕が行きたいと言いましたけど、最終的に申し込んだのは妻ですし、息子も自分で「行きたい」と言ったんです。家族3人の希望で、1年間の親子島留学をすることになりました。

それに、僕が海士町に行けば、「ないものはない出版会」のサポートに密に関わることができます。これは英治出版の経営にとって大きな意義のあることです。その一方で、ないものはない出版会から出す本は、英治出版の出版物と競合すると思うんですよ。良い意味で、英治出版のみんなに刺激を与えることもできそうだと感じています。

あと、これは直樹さん(太田直樹さん)の発案なんですが、「ジョニー」という島ネームを持つことにしました。それで、「ジョニー研究会」を立ち上げる予定です。第1回ジョニー研究会では、西水美恵子さん(元・世界銀行副総裁)をゲストにお呼びして、海士小学校で特別授業をしてもらおうと考えています。そういう意味では、1年間の限定住民として、島の皆さんに少しでも刺激を与えられたらという想いもありますね。これまでは英治出版の経営者として、編集者や著者の皆さんに刺激を与えようと頑張ってきたわけですが、それを島でもさまざまな形で続けたいと思っています。

身体に触るとすぐに相手と仲良くなれる

 他に何か、コクリ!に関して思うことがあればメッセージをください。

英治 身体ワークは、相手に触れることができるのもいいなと思うんですよ。ふだん僕たちは、家族以外の身体ってなかなか触らないじゃないですか。仕事中に相手の身体を触ると、簡単にセクハラになってしまいますし。でも、コクリ!で身体ワークをすると、安心安全な環境のなかで相手に触ることができる。そうすると、身体感覚で理解する(腑に落ちる)ことができるから、言葉だけでコミュニケーションを取るよりも、すぐに相手と仲良くなれるんです。その結果、安心安全ゾーンがより生まれやすくなったのかなと思います。以前、ダイアログ・イン・ザ・ダークを体験したときにも、まったく知らない人なのに周囲の誰かを触っていると安心する感じを覚えたんですが、それに近い感覚がコクリ!の身体ワークにもありました。その意味でも、効果絶大だと思います。

写真左は愛ちゃん(三田愛さん)

原田英治さん
慶応大学法学部法律学科卒業後、アンダーセンコンサルティング(現:アクセンチュア)に入社。数年勤務の後、退職し、家業である一世印刷株式会社に入社する。取締役、代表取締役副社長を務めた後、一世印刷株式会社を退職し、有限会社原田英治事務所を設立。2000年に現在の英治出版株式会社に改組し、代表取締役に就任。「ブックファンド」という新しい出版ビジネスモデルを考案し、事業展開を行っている。

 

「問題になる前」に取り組んで、世の中の「生きにくさ」を減らしたい――「夢のワーク」と「コクリ!研究合宿」

 

2018年6月の「コクリ!研究合宿@フフ山梨」を経て、なおこさんは、問題になる前に挑戦しないと、世の中の生きにくさを減らすことはできないことに気づいて「家族計画建築」を思いつき、「家と家族についてのラーニングコミュニティ」を立ち上げることを決心しました。

 

コクリ!の深い話(13)知性主義と反知性主義を「同根」と捉えない限り、何も解決できないのではないか? ●ドミニク・チェンさん

 

「大きくならない都市をつくることもできるのでは」「ユーザーが場を発酵させて良い状態にしてくれたWebコミュニティをつくった」「精霊の声やものの声は聞こえる人には本当に聞こえている」といったお話を縦横無尽に伺っていきました。

 

コクリ!の深い話(12)AIが「持続可能で幸せに暮らせるのは地方分散型社会」だと予言した ●広井良典さん×日立京大ラボ

 

「AIを活用した未来シナリオ研究」を行っている京都大学教授の広井良典さんと日立京大ラボの加藤猛さん、福田幸二さんに、「日本の破局を防ぐには、10年ほどで“持続可能性の高い地方分散シナリオ”に持っていく必要がある」というお話を伺いました。

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